私たちは視覚によって物の色や形を知ることができます。
視覚の中でも、色のような単純な情報を分析するには眼球が大きな役割を果たします。
「色を学ぶのになぜ眼の仕組みを勉強する必要があるの?」と思われるかもしれませんが、色を用いて表現しようとしたり、色の特性を活用しようとする際にはその色がどのように見えているのかを理解しておかなければなりません。そしてそのためには目の仕組みを理解しておく必要があります。
主な眼の各名称と役割は以下の通りです。
<眼の名称> <カメラ>
強膜(きょうまく)と脈絡膜(みゃくらくまく)⇒ボディ
- 強膜は白目の部分です。眼球の一番外側にあり、眼球を硬い殻のように守っている。外光を遮断する役割も持つ。
- 脈絡膜は血管が通っていて、眼球全体へ栄養分を供給している。
角膜(かくまく)と水晶体(すいしょうたい) ⇒レンズ
- 角膜は光を眼球内部へと屈折させて集光し、網膜で像を結ぶ役割を持つ。また、眼球内へのゴミの侵入を防ぐ。
- 水晶体は眼に入った光を屈折させて(水晶体の厚みを変えている)焦点を合わせる役割を持つ。
虹彩(こうさい) ⇒絞り
- 眼に入る光の量を調節する役割を持つ。
網膜(もうまく) ⇒フィルム
- 像を結ぶ部分。さまざまな神経細胞によって構成されている。
☆中心窩(ちゅうしんか)・・・網膜の中心部。視細胞の密度が非常に高く、小さくくぼんでいる。網膜の中でも最も解像度が高い。
次に、先ほど紹介した網膜のさまざまな神経細胞について説明します。神経細胞は人間が光を認識するための大事な処理をしてくれているので、しっかりとその働きと仕組みを理解しておきましょう!
光が脳へと伝達される手順は以下の通りです。
光→視細胞(杆体細胞・錐体細胞)→神経節細胞→視神経→脳
右図の通り、網膜はさまざまな細胞からなるいくつかの層で構成されています。
最も奥が色素上皮層(しきそじょうひそう)→視細胞→水平細胞(すいへいさいぼう)→双極細胞(そうきょくさいぼう)→アマクリン細胞→神経節細胞(しんけいせつさいぼう)の順です。
水平細胞は視細胞同士を結ぶ働き、双極細胞は視細胞と神経節細胞を結ぶ働き、アマクリン細胞は神経節同士を結ぶ働きをしています。
お気づきかもしれませんが視細胞には杆体細胞(かんたいさいぼう)と錐体細胞(すいたいさいぼう)の二種類があります。
杆体細胞
暗いところで働く細胞です。杆体細胞は一種類しかなく、明暗の感覚を識別し、とても高感度で、少しの光でも神経信号を出すことができます。
錐体細胞よりも個数が多く、網膜全体に広く分布しています。中心窩には存在しません。
錐体細胞
明るいところで働く細胞です。錐体細胞は三種類あり、短波長(青)の光を主に感じるs錐体・中波長(緑)の光を主に感じるм錐体・長波長(赤)の光を主に感じるL錐体があります。これらをそれぞれ組み合わせることで色を識別できるのです。とても低感度で、十分な光が無いと神経信号を出すことができません。杆体細胞よりも個数が少なく、中心窩の中心部分に存在します。